2021年5月28日金曜日

トウモロコシの生態【日本人宿オーナーの96日間戦争Vol.7】

無銭宿泊しているカップル。

■前回までのあらすじ【Vol.6】 【Vol.5】 【Vol.4】 【Vol.3】 【Vol.2】 【Vol.1】

男の方は、浅黒くてヒョロリと背が高く、金髪の短いドレッド。
まるで、トウモロコシのようです。

今回はそのトウモロコシの生態について少し書きます。

トウモロコシはどうやら「潔癖症」のようです。

手を洗うときは、水をジャージャーと流し続け、ハンドソープのポンプを10プッシュ!
そしてそこにかかっているタオルが嫌なのか、手をブンブンと振り回し水気を飛ばします。彼が去った後、至る所に水しぶきが飛び散ってます。

1枚のお皿を洗うにも、水を流し続け、もちろん洗剤も10プッシュ!
彼が去ったあとのキッチンのシンクは泡風呂のように泡がモコモコと残っています。

ハンドソープも洗剤も大きなボトルが1週間でなくなってしまいます。

またこれが1番の問題!!!!

トウモロコシは手癖が悪い! のです。

ある日、毎日元気に働いてくれていたお掃除ロボットが急にいなくなりました。本体だけではなく、ご丁寧に充電器まで根こそぎ盗られました。

ある晩は、たまたま見ていた監視カメラに不審な動きをするトウモロコシが映りました。
宿の入り口にある引き出しから、こっそりとクレジットカードの決済端末機を盗んでいるではないですか!


 「何に使うんだよ!!!!!」と怒りがこみあげて、深夜トウモロコシの部屋へすぐに突撃! 「何やってんだよ!返せーーーーっ!」と怒ったら、なんとびっくり

「 携帯の充電がしたかったんだよ!」

と謎の言い訳。その機械でどうやって充電が出来るだよ、バカ! と心の中で叫び部屋のドアを閉めました。

こんな馬鹿げたことをしても恥ずかしくないのか(そもそも無銭宿泊自体が恥ずかしいことなのに)、宿の廊下など鼻歌で闊歩してるので相当ヤバイ奴のようです。

この数週間後、トウモロコシは新たな盗みをして私たちを疲弊させます。
その話はまた後で・・・。

2021年5月21日金曜日

金銭賃借契約書を交わす!【日本人宿オーナーの96日間戦争Vol.6】

支払いの約束から10日経ち、3月となりました。

■前回までのあらすじ【Vol.5】 【Vol.4】 【Vol.3 】 【Vol.2 】 【Vol.1】

一体支払いはどうなっているのか聞いてみると、今度は

「月末に仕事の給料が入るので、それで払いたい」

と言うではありませんか!  え?保証金は?なんで?? と思っても、ヤツラの中では保証金の話しなど、まるでなかったかのようになっていました笑

1ヶ月未払いで住まわせ続けるのは、いくらなんでもリスクがあると思う反面、コロナでお客さんがいないなか後払いとはいえお金になるのなら・・・そんな考えもあり、OKを出してしまいました(猛省)

ただOKするのではなく、まず


 ヤツラと金銭賃借契約書を交わすことにしました。

内容は、

支払い期日は、3月15日(2月の未払い分)と3月30日(3月の未払い分)とする。

たったこれだけの簡単な内容ですが、口約束よりもマシだと思い簡易のものを自分で作成しました。契約書の最後には、2人の身分証明書のコピーを添付。この時、表面だけをコピーし裏面を忘れたことを、後に大後悔することになるんです・・・・。


2021年5月15日土曜日

シハライキジツ ッテ ナンデスカ?【日本人宿オーナーの96日間戦争Vol.5】

 さて、前回約束していた500ユーロの支払期日【2月20日】がやってきました。

■前回までのあらすじ【Vol.4】 【Vol.3】 【Vol.2】 【Vol.1】

 まぁ、私の性格上その日が来たからといって取り立て屋のように強く出ません。(これが彼らから舐められた一因でもあります)

1日が過ぎ、2日が過ぎ、3日が過ぎ・・・・

何もヤツラからのアクションはなく、ただただ日にちだけ過ぎていきました。

しびれを切らし、

「お金はどうなった?」 と聞くと、

「今から銀行に行ってくるね!」と返事がきました。

しかしお金が支払われることなく、館内で顔を合わせても・・・何も言ってこない!

支払い期日から10日が過ぎても、何のアクションもない。
一体どうなってるのか聞くと、

「不動産からまだ保証金の返金が入金されていない。」 と言ったかと思えば、翌日には
「不動産から保証金が返金されたので、数日待てばもらえる。」 と言ってきます。


 
 期日を守れないなら、その謝罪をしてから理由、この常識が守れないくせに、とにかく何かこちらが言えば、お家芸の言い訳ばかり。

ただ、こんな子供のみたいな嘘を付いているうちは、まだ良かったんですけどね。

2021年5月11日火曜日

状況の悪化は私の信念が招いたものだった!【日本人宿オーナーの96日間戦争Vol.4】

ヤツラ(=オクパのカップル)が来てから、1週間が過ぎたころ何やら「相談」があると言ってきました。

■前回までのあらすじ【Vol.3】 【Vol.2】 【Vol.1】

その相談とは、

「今お金が手元にないが、ここへ来る前に住んでいたアパートの保証金(2か月分1300ユーロ)が220日に返金されるので、それまで支払いを待ってくれないか?」

とのことだった。

125ユーロ×20日分=500ユーロ
220日に払いたいという事である。

そしてここでヤツラの必殺技の泣き脅し(はい出ました、あちらの国のお家芸!)


「他に行くところがない」

「犬とともに道で寝れば良いのか!?」

「頼れる家族がいない。俺は独りぼっちなんだ!」 

 

次から次へと、「そんなのこっちは知らないよ!」と言いたくなるような言い訳をずらずらと畳みかけるように話します。(相手の話を聞かずに自分の主張ばかりの会話、本当に体力を消耗します)

賃貸契約書の保証金の欄に1300ユーロと記載がるのことをこの日は確認して、2月20日まで支払いを待つことにしました。

このことを妻に話すと、「えっ!? そんなの信じたの? 噓でしょっ???」と呆れられ(怒られ)ました。

 

でも私にはとある信念があったのです!

 

犬を2匹も飼っているんだから、ヤツラも根は良いやつに違いない!
万国共通、犬を好きな人に悪い人はいないんだっ!

そう思っていたのです。
今となっては、例外がこんな近くにいたとは・・・・・。

2021年5月9日日曜日

食べ物が次々に神隠しに!?【日本人宿オーナーの96日間戦争Vol.3】

■前回までのあらすじ【Vol.2】 【Vol.1】

ヤツラ(=オクパのカップル)がやってきてから、宿泊者専用の共用冷蔵庫などから食べ物が次々に神隠しにあう怪奇現象が多発。


クロワッサン、コカ・コーラ・・・次から次へと食べ物がなくなります。

宿泊者専用の共用の冷蔵庫に食べ物を入れると最後、あっという間になくなっていくのです。

犯人はもちろんヤツラです。

クロワッサンを食べられた人が怒ってオクパ女に文句を言うと、
「なんで食べちゃいけないの~!?」 と言われたとのこと。


私からも 「他人のクロワッサンは食べちゃダメ!」 と再度注意(こんな注意を人にするなんて笑)すると、 

「自分のものしか食べてない。もしそれが他の人のだったら、ごめんね!」

はい、あちらの国の十八番が出ました。自分肯定の言い訳、嘘。

ポカーンとする言い訳(という名の嘘)に、これからどんどん悩まされるとはこの時は微塵も思いませんでした。

2021年5月8日土曜日

コロナ禍に忍び寄る魔の手【日本人宿オーナーの96日間戦争Vol.2】

■前回までのあらすじ 

 

スペインに来て15年、カサデバルサという宿をバルセロナの中心地に営業してから今年で9年経ちました。

色々と浮き沈みはありましたが、何とか9年やってこれました。


しかし2020315日 緊急事態宣言がスペイン全土で発令
夜間外出が10時までに規制、レストランの営業時間も大幅縮小、観光地のクローズ、大手ホテルは無期限で休業。

私の宿も例外ではありませんでした。
コロナ禍によりお客様が激減し、売り上げは前年度の90%減
出来るだけコストを削減し、宿泊費を大幅に安くしたり、長期貸しなどにも対応し、コロナを頑張って乗り切ろうと試行錯誤の日々でした。 

喉から手が出るほどお客さんに来てほしい状況でした。 

 

そんな中に彼らが来たのです。

127日に某ブッキングサイトより一件の当日予約が入ります。
1組のカップルがやって来ました。


国籍はイタリアとスペインですが、肌が浅黒くTheモロッコ系

宿泊は1日のみ。クレジットカードで決済。

翌日・・・
チェックアウトの時間になっても出て行かないのは日常茶飯事。
(きっちり時間を守ってくれるのは日本のお客様だけです…ありがとうございます!)

昼すぎになっても出て行かないので部屋に行くと、「今日も泊まりたい」とのこと。

現金で延泊代を支払いました。

夕方、荷物を持ってくるといいスーツケース二つと・・・
犬2匹
を連れてきたのです

  
 
本当なら犬はNG(過去に酷い目にあってる)だけど、延泊で収入もはいるし、こんな時期にどんなお客さんであれ、泊ってくれることがありがたかったのです。
 
後々、あんな死闘を繰り広げる相手にこの時点で感謝してたとは情けない(涙)

 

その後ずるずると「今日も」といった感じで延泊が続きました。
翌日以降は2日遅れ、その後は4日遅れでの支払になりました。

それでも1週間分程度はチャンと払っていたので気にしていませんでした。